SNS運用代行の個人情報:公式LINE・リスト獲得・計測タグとプライバシーポリシー

友だちリストは誰のものか、計測タグの送信先は誰が公表するのか。運用代行会社が扱う個人情報の立場を3つに分け、契約書とポリシーに書くことを整理します。

トップページ › SNS運用代行の個人情報:公式LINE・リスト獲得・計測タグとプライバシーポリシー

このページの要点

  • 顧客の公式アカウントやフォームで集めた連絡先は顧客のもの。運用代行会社は委託の範囲でしか使えず、自社の施策や他の顧客との突合には使えない。
  • 計測タグは、情報・送信先・目的の一覧をつくり、ポリシーと突き合わせる。外部送信規律の対象かは、顧客のサービスの内容で決まる。
  • 加工したメールアドレス等を広告事業者へ送る連携は、提供元で個人データのままとなり得る。設定の前に同意の仕組みを整える。
  • ステップ配信のアンケートやラベルが病歴などに及ぶと要配慮個人情報。ツールの契約名義、再委託、終了時の削除も契約で決める。

最初に結論:運用代行会社は、個人情報について3つの立場を使い分けている

SNS運用代行で個人情報が問題になる場面は、プライバシーポリシーを書くときだけではありません。公式LINEの友だち、キャンペーンの応募、フォームやリード広告からの申込み、DMでの問い合わせ、サイトに入れた計測タグ。顧客のアカウントを動かすたびに、顧客の顧客の情報が運用代行会社の手元を通ります。

結論から言うと、運用代行会社は次の3つの立場を行き来しており、立場ごとに根拠となるルールも、契約書に書くべきことも違います。①顧客から個人データの取扱いを任された委託先、②自社の公式LINEやセミナー申込みなど、自分の事業で個人情報を取得する事業者本人、③顧客のサイトや配信ツールに計測タグや連携の設定を入れる設定の作業者です。契約書でこの3つが混ざっていると、「このリストは誰のものか」「タグの送信先を公表するのは誰か」という有事の問いに、条文から答えが出なくなります。

用語を先に整理します。「個人情報」とは、氏名や生年月日などにより特定の個人を識別できる情報をいい、他の情報と容易に照合でき、それによって識別できるものを含みます(個人情報保護法2条1項1号)。このうち、検索できるように体系的に整理された名簿(個人情報データベース等)を構成するものが「個人データ」です(同法16条3項)。友だち登録者の一覧や申込者リストは、ツール上で検索できる以上、通常は個人データに当たります。そして、名簿を事業の用に供している者は、従業員数や取り扱う件数にかかわらず「個人情報取扱事業者」になります(同条2項)。

委託先も事業者としての責任を負います。個人情報保護委員会のQ&A(Q1-53)は、委託された業務を行うために元の事業者のデータを使う場合、委託先も「事業の用に供している」ので個人情報取扱事業者に当たるとしています。また、委託された個人データは、特に定めがない限り委託元の保有個人データになると考えられるとされています(Q1-56)。つまり、顧客の友だちリストは、運用代行会社の手元に置かれても、原則として顧客のものとして扱われます。

運用代行で個人情報に触れる場面と、運用代行会社の立場

場面運用代行会社の立場主な根拠契約書で決めること
顧客の公式LINEで友だちのメッセージを見て返信する委託先委託元の監督(25条)、自らの安全管理(23条)見てよい範囲、保存先、持ち出しの禁止、再委託、漏えいの報告
顧客のフォームやリード広告で集めた申込者へ配信・連絡する委託先(リストは顧客のもの)利用目的の明示(21条)、委託に伴う提供(27条5項1号)リストの帰属、利用目的の範囲、終了時の返却と削除
自社の公式LINE・セミナー申込み・問い合わせを受け付ける事業者本人利用目的の通知・公表(21条)、保有個人データの公表(32条)自社のプライバシーポリシー、顧客のリストと混ぜない運用
顧客のサイトや広告に計測タグ・連携を設定する設定の作業者(情報を送らせる主体は、通常はサイトの運営者である顧客)外部送信規律(電気通信事業法)、個人関連情報の提供の制限(個人情報保護法31条)設置するタグの一覧、公表文との照合、同意の仕組みの担当

条番号は、特に断りのない限り個人情報保護法のものです。

以下では、リスト獲得とLINE、計測タグと外部送信、取りすぎてはいけない情報、条文例の順に整理します。アカウントへのログインや権限の話はログイン情報・二段階認証・凍結のページで、DMやコメントへの対応は投稿承認・コメント/DM対応・炎上時の対応のページで扱っているので、ここでは「集める・送る・使う」に絞ります。

公式LINEやリスト獲得フォームで集めた連絡先は、誰のものですか?

顧客名義の公式アカウントやフォームで集めた連絡先は、顧客のものとして扱うのが基本です。運用代行会社が作業をしたことは、リストの帰属を左右しません。ところが、運用代行の契約書では、リストについての定めがなく、「成果物」「ノウハウ」「レポート」の条項に紛れ込んでいることがあります。契約が終わる場面で、顧客が友だちリストを引き継げない、運用代行会社が他の顧客の提案に使っていた、という争いを避けるには、リストと個人データを成果物とは別の条で定めます。

ツールの契約名義が、リストの置き場所を決める

ステップ配信やタグ付けの機能を持つ外部の配信ツールを使う場合、そのツールの契約名義を運用代行会社にするか、顧客にするかで、データの置き場所が変わります。運用代行会社名義のアカウントの中に複数の顧客の友だち情報を入れて運用すると、顧客から見れば「自分のリストが他社のアカウントに預けられている」状態になり、終了時の取り出しや削除の確認が難しくなります。顧客名義で契約し、運用代行会社には管理者権限を付与する形が、リストの帰属を最も説明しやすい構成です。運用代行会社名義で運用する場合は、顧客ごとにアカウントを分けること、終了時にデータを書き出して引き渡し、その後に削除して報告することを契約で定めておきます。

運用代行会社が「自分のために」使えない理由

委託を受けた個人データは、委託された範囲でしか使えません。個人情報保護委員会のQ&Aは、委託先が自社のマーケティングのために委託データを使うことや、複数の委託元のデータを区別せずに混ぜて使うことは、委託の範囲外としています(Q7-37)。統計情報への加工も、委託された業務の範囲に含まれている場合に限られ、できあがった統計情報を委託先が自社のために使うことは認められないとされています(Q7-38)。広告配信の委託で得られる反応のデータのように、委託データから派生したデータも同じ扱いです(Q7-40)。委託先が自分で持っているデータと、委託を受けた個人データを、個人ごとに突き合わせることもできません(Q7-41)。

運用代行の現場で起こりやすいのは、悪意のある流用ではなく、善意の便利使いです。たとえば、複数の顧客のリストを1つの表にまとめて開封率の傾向を見る、友だちの属性を自社のリストにも控えておく、ある顧客の反応を別の顧客への提案資料に載せる、といったことです。匿名の数値でも顧客の秘密情報に当たることがあるため、提案資料に使ってよいかを契約で決めておきます。

運用代行会社が自社の施策にも友だち情報を使いたい場合は、委託の枠の外で整理します。顧客から個人データの第三者提供を受ける形にして本人の同意を得る方法(個人情報保護法27条1項)や、共同して利用する者に提供する形にして、その旨や項目、共同利用する者の範囲、利用目的、管理の責任者の氏名または名称などを、あらかじめ本人に通知するか容易に知り得る状態に置く方法(同条5項3号)が考えられます。いずれも顧客の側の手続と公表が必要になり、運用代行会社が単独で決められることではありません。

集めるときに、利用目的を本人に見せる

本人からフォームの入力などで直接個人情報を取得する場合は、あらかじめ利用目的を本人に明示しなければなりません(21条2項)。それ以外の取得でも、あらかじめ公表している場合を除き、速やかに利用目的を通知するか公表します(同条1項)。リスト獲得のフォームを作るのは、運用代行会社であることが多いので、入力欄の直前に置く利用目的の文言を誰が用意し、誰が確認するのかを決めておきます。

個人情報を何に使うのかという利用目的は、できる限り具体的に特定して決めておく必要があります(17条1項)。「マーケティング」「サービス向上」だけの書き方は、何に使うのかが読み取れません。無料プレゼントの送付、セミナーの案内、新商品の案内、アンケートの依頼のように、実際にやることを並べます。後からステップ配信で別の商品の案内を始めるときに、最初の目的に含まれていなければ、変更前の目的と関連性があると合理的に認められる範囲に限って変更できるにとどまり(同条2項)、その範囲を超える利用にはあらかじめ本人の同意が必要です(18条1項)。変更した目的は本人に通知するか公表します(21条3項)。

リストと利用目的の書き方の例

リストの帰属

よくある書き方運用に関連して取得した情報の権利は、乙に帰属する。
整えた書き方本業務に関連して顧客の公式アカウント、フォーム又は配信ツールにより取得された個人情報(以下「本件個人情報」という。)は、委託者が管理する情報として扱い、受託者は、本業務の遂行のためにのみ取り扱う。

ねらい「情報の権利」という言い方では、成果物の著作権と、友だちリストの管理が同じ条に混ざります。リストは成果物と切り離し、委託者の管理する情報として書きます。

受託者の自己利用

よくある書き方乙は、業務で得た知見を自社のサービス向上のために利用することができる。
整えた書き方受託者は、本件個人情報を、自己又は第三者のために利用せず、他の委託者の個人情報と照合せず、統計情報その他の形に加工して利用しない。個人を識別できない数値を提案資料等に用いるときは、委託者の書面又は電磁的方法による事前の承諾を得る。

ねらい業務で得た「知見」と、個人データから派生したデータは別物です。知見を使える範囲と、個人データに触れてはならない範囲を分けます。

フォームの利用目的

よくある書き方お客様の情報は、マーケティング活動に利用します。
整えた書き方ご入力いただいた氏名とメールアドレスは、①無料の資料の送付、②その後の同種のサービスのご案内、③アンケートのお願いのために利用します。

ねらい何をするのかが読み取れる書き方にします。ステップ配信の中身が変わったら、利用目的も見直します。

計測タグ・広告タグを入れるとき、プライバシーポリシーと何を突き合わせますか?

タグを入れるときは、「どの情報が」「どの事業者に」「何の目的で」送られるかを一覧にして、プライバシーポリシーの記載と突き合わせます。運用代行で実際に入ることの多いタグは、アクセス解析、広告の効果測定、LINEの友だち追加の計測、ヒートマップ、チャットの窓口、埋め込みの動画や投稿などです。タグは後から追加され、タグ管理ツールを通じて変更されることもあるため、ポリシーの記載が実装に追いつかなくなるのが、最もよくある不整合です。

外部送信規律は、顧客のサービスが「対象の役務」かどうかから入る

電気通信事業法の外部送信規律は、一定の電気通信役務を提供する事業者に、利用者の端末から外部へ情報を送信させるときの通知または公表などを求めています。総務省のFAQによれば、対象になるのは、SNSや掲示板、情報の配信など、ブラウザやアプリを通じて提供される役務を提供する事業者です。他方で、電気通信事業を本業としない事業者が、自社の商品やサービスを紹介・販売するだけのサイトは、通常は対象外とされています。通知または公表が必要な場合の事項は、送信される利用者情報の内容、送信先の名称、利用目的の3つです。

運用代行の顧客の多くは、店舗、教室、個人事業、中小企業で、自社のサービスを紹介する公式サイトを持っています。そのサイトは通常は対象外とされる側にあります。一方で、顧客が会員同士の投稿を載せる場や、不特定多数に情報を提供すること自体を事業とするサイトを持っているなら、対象になる可能性があります。どちらなのかは、サイトの役務の内容で決まります。運用代行会社が判定を引き受けると読める契約は避け、「対象かどうかの判断は委託者が行う。受託者は設置したタグの一覧を提供する」と役割を分けておくのが現実的です。

Cookieなどの情報は「個人関連情報」になり得る

Cookieの識別子に結び付いた閲覧履歴のように、個人情報、仮名加工情報、匿名加工情報のいずれにも当たらない、生存する個人に関する情報を、個人関連情報といいます(2条7項)。個人関連情報を第三者に提供する場合で、提供先がそれを個人データとして取得することが想定されるときは、提供元は、本人の同意が得られていることなどをあらかじめ確認しなければなりません(31条1項)。提供先が外国にある場合は、同意を得る際に、その国の制度などの情報が本人に提供されていることも確認します(同項2号)。

この規律がかかるかどうかは、タグの仕組みによって整理が変わります。ブラウザ上のタグで広告事業者が直接情報を取得する場合と、顧客のサーバーから広告事業者へ、購入やフォーム送信といった出来事の情報を送る場合では、情報を「提供」しているのが誰かが違うためです。どちらの仕組みを使うのかを契約書に書き、顧客のポリシーに反映してもらいます。

特に注意したいのは、メールアドレスや電話番号を加工して広告事業者に送り、広告の最適化や効果測定に使う連携です。加工をしても、提供元である顧客が他の情報と容易に照合でき、特定の個人を識別できるのであれば、その情報は提供元では個人情報(個人データ)にとどまります(2条1項1号の括弧書き)。そうすると、広告事業者への送信は個人データの提供に当たり得て、本人の同意(27条1項)、提供先が外国にある場合は外国にある第三者への提供の同意と情報提供(28条1項・2項)が問題になります。「加工してあるから大丈夫」という整理で設定を入れることは避け、設定をオンにする前に、ポリシーと同意の取り方を揃えます。入力されたメールアドレスなどを自動でタグに送る機能は、ポリシーに書かない限りオフにしておく、という運用も一案です。

タグ・連携の設定を巡る役割分担の例

作業委託者(顧客)受託者(運用代行会社)
設置するタグ・連携の決定最終的に決める候補と、送られる情報の一覧を示す
タグの設置・変更権限を付与する。自ら行うか、行わせるか決める依頼された範囲で設置し、変更の都度、一覧を更新する
プライバシーポリシー・外部送信の公表文確認し、公開する責任を持つ一覧との差異を指摘する(文案の作成は別の業務とするなら、その旨を書く)
同意の取得(同意が必要な連携を使う場合)同意の方法と記録を持つ同意が取れていない連携をオンにしない
対象の役務かどうかの判断判断する判断を引き受けない旨を明記する

計測の仕事そのものを受ける契約では、次のような分け方が実務で見られます。分析の業務は準委任とし、計測のタグの設定や実装は範囲外とする。閲覧者のCookie同意の設定、ブラウザの制限、タグの未設置や重複によってデータが合わない場合は、分析の精度を保証しない。この書き方は受託者を守りますが、範囲外にした結果、タグとポリシーの整合を誰が見るのかという空白ができてしまいます。範囲外にするのなら、「タグの設置状況の一覧は委託者が提供する」「ポリシーの更新は委託者が行う」と、空白を顧客側の義務として埋めておきます。

よくある失敗と直し方

運用代行会社が作る契約書や、顧客のプライバシーポリシーで繰り返し見られる書き方を、直し方とあわせて整理します。

個人情報の条項と、プライバシーポリシーの典型的な不備

個人情報条項の構造

よくある書き方甲及び乙は、個人情報を各自のプライバシーポリシーに従って管理し、本人の同意なく第三者に提供してはならない。
整えた書き方受託者は、委託者から取扱いを委託された個人データを、本業務の遂行に必要な範囲でのみ取り扱う。委託者は、受託者に対し、必要かつ適切な監督を行うことができ、受託者はこれに協力する。

ねらい当事者が対等に「各自で管理する」と書くと、委託の関係が見えません。誰が委託元で誰が委託先か、委託の範囲はどこまでかを書きます。委託に伴う提供は第三者提供に当たらない(27条5項1号)ことも、構造が明確なほど説明しやすくなります。

再委託

よくある書き方乙は、業務を第三者に再委託することができる。
整えた書き方受託者は、本件個人情報の取扱いを再委託する場合、委託者に事前に通知して承諾を得る。別表に記載した配信ツール等の事業者の利用は、承諾済みとする。

ねらい個人データの取扱いを任せるなら、再委託先の監督(25条)まで連鎖します。配信ツールの事業者も別表に載せておくと、顧客のポリシーの記載とも揃います。

外国の事業者の利用

よくある書き方利用者は、外国に所在する事業者へ情報が送信されることに同意したものとみなす。
整えた書き方送信先の事業者名、所在する国、その国の個人情報の保護に関する制度、事業者が講じている保護措置などを示したうえで、本人の同意を得る。

ねらい外国にある第三者に個人データを提供するには、あらかじめ外国にある第三者への提供を認める旨の本人の同意が必要で、同意を得る際にはその国の制度などの情報を本人に提供します(28条1項・2項)。「みなす」の一文では足りません。なお、クラウドの提供事業者が保存データを取り扱わない契約と管理であれば、そもそも「提供」に当たらない整理もあります(個人情報保護委員会のQ&AのQ7-53)。

Cookieへの同意

よくある書き方当サイトの利用を継続した場合、Cookieの使用に同意したものとみなします。
整えた書き方当サイトでは、次の事業者に、次の情報が送信されます。停止の方法は、各事業者の案内に従って次のとおりです。(一覧を掲載)

ねらいCookieの利用そのものに事前同意を一律に求める規定が日本にあるわけではありません。「継続利用でみなす」と書いても同意の根拠にはならず、同意が必要な連携(個人関連情報の第三者提供など)の手当てにもなりません。送信先ごとに、送られる情報と目的を示す書き方に改めます。

条文の引用

よくある書き方外部送信については、個人情報保護法第31条に基づき公表します。
整えた書き方外部送信の公表は、電気通信事業法の外部送信規律に基づくものとして書く。個人関連情報の提供の制限は、個人情報保護法31条として別の項目で書く。

ねらい2つの制度が混ざった引用がひな形に見られます。外部送信規律は電気通信事業法の制度、個人関連情報の規律は個人情報保護法の制度です。条番号を間違えたポリシーは、読み手に信頼されません。

ステップ配信やタグ付けで、要配慮個人情報まで取ってしまうとき

配信ツールの「ラベル」「タグ付け」「アンケート」の機能は便利ですが、設問の作り方によっては、取得にあらかじめ本人の同意が必要な情報に及びます。病歴、人種、信条、社会的身分、犯罪の経歴など、不当な差別や偏見が生じないよう取扱いに配慮を要する個人情報として、法律や政令で定められたものを「要配慮個人情報」といい(2条3項)、法令に基づく場合などを除き、あらかじめ本人の同意を得ずに取得してはなりません(20条2項)。

運用代行の現場では、美容、健康、子育て、教育、医療、金融などの顧客が、友だち追加後の「お悩み診断」で、本人の健康状態や通院歴に近い選択肢を並べることがあります。「どの悩みですか」という設問の選択肢が、病名や症状に及んでいれば、その回答は要配慮個人情報に当たり得ますし、回答に応じて自動的に付けるラベルの名前自体が、記録として残ります。友だち追加の画面で同意したことは、そのアンケートの回答を取得することへの同意にはなりません。

ラベルやアンケートで取得しない方がよい情報と、代わりの設計

場面避けたい取り方代わりの設計
悩みの診断病名・症状を選択肢にし、回答でラベルを付ける相談したいテーマ(例:食事、運動)の選択にとどめる。症状は個別の相談の場で口頭で聞く
自由記述欄「何でもお書きください」とだけ置く病歴・家族・勤務先などは書かないよう注意書きを置き、書かれた場合の扱い(利用しない、削除する)を運用で決める
ラベル名内部の管理名に病名や属性を使う業務上必要な最小限の分類(例:資料請求済み、来店予約済み)にする
子どもに関する回答保護者が子どもの発達や診断について入力する取得する項目を絞る。取得するなら、その画面で、利用目的と同意を取る

配信の中身に広告が含まれる場合の表示はステマ規制のページで、キャンペーンの応募者から取る情報はキャンペーンの応募規約のページで説明しています。電子メールで広告や宣伝を送る場合は、特定電子メール法により、あらかじめ同意した人などに限られます。LINEなどのメッセージ機能が同法の対象になるかは通信の方式によるため、ここでは断定せず、同意を取り、配信の停止を簡単にできる運用で揃えておきます。

条文例:運用代行契約のデータ取扱条項と、ポリシーに加える計測ツールの条項

ここまでの整理を条文の形にした例です。取引の実態(ツールの名義、再委託の有無など)に合わせて調整して使います。

運用代行契約:顧客のリスト・個人データの取扱い(例)

1本業務に関連して、委託者の公式アカウント、フォーム、DM、広告その他の方法により取得された個人情報で、受託者が取り扱うもの(以下「本件個人情報」という。)は、委託者の管理する情報とし、成果物に関する権利とは別に定める。

2受託者は、本件個人情報を、本業務の遂行に必要な範囲でのみ取り扱い、自己又は第三者のために利用しない。受託者は、本件個人情報を、他の委託者の個人情報と照合せず、統計情報その他の形に加工して利用しない。ただし、委託者が書面又は電磁的方法で事前に承諾した場合は、この限りでない。

3受託者は、本件個人情報を、委託者が契約名義人である配信ツール等の上で取り扱い、受託者の端末、個人のアカウント又はメッセージアプリに複製して保存しない。画面の撮影を含む。

4受託者は、本件個人情報の取扱いを再委託する場合、あらかじめ委託者の承諾を得る。別表に記載した事業者の利用は、承諾済みとする。受託者は、再委託先に本条と同等の義務を負わせ、再委託先の行為について責任を負う。

5受託者は、本件個人情報の漏えい、滅失、毀損又はそのおそれを知ったときは、事実関係が確定していなくても、直ちに委託者に報告する。

6本契約が終了したとき、受託者は、委託者の指示に従い、本件個人情報を引き渡した上で消去し、その結果を委託者に報告する。法令に基づき保存が必要な情報は、この限りでない。

提案資料に匿名の数値を使いたい場合は、使える数値の種類をあらかじめ別表に挙げておきます。

顧客のプライバシーポリシー:計測・配信ツールの条項(例)

1当社は、当社のウェブサイト及び公式アカウントに、別表に掲げる計測ツール及び広告の配信ツールを導入しています。これらのツールにより、別表に掲げる情報が、別表に掲げる事業者に送信されます。

2別表の「送信先における利用目的」は、各事業者が定める利用目的によります。当社が送信する情報の利用目的は、アクセス状況の分析及び広告の効果測定です。

3当社が、メールアドレス又は電話番号を加工した情報を広告事業者に送信するのは、あらかじめご本人の同意を得た場合に限ります。(この連携を行う場合のみ記載)

4当社は、友だち追加によって確認できる表示名等の情報及びメッセージの履歴を、お問い合わせへの対応及びご案内の配信のために利用します。配信のために外部の配信ツールを利用する場合は、その事業者に取扱いを委託します。

5外国にある事業者に個人データを提供する場合には、事前に、その国の名称、その国における個人情報の保護に関する制度、その事業者が講じている保護措置を、お知らせしたうえで同意を得ます。

第3項と第5項は、該当する連携を行う場合だけ書きます。実際に行っていない連携を書くと、ポリシーが実装と食い違います。別表は、タグを追加・削除するたびに更新できるよう、本文と分けて持ちます。

ヒヤリングで確認すること

書類を作る前に確認する事項と、その理由です。答えによって、条項の書き方も、ポリシーに載せる内容も変わります。

契約書とポリシーを作る前に伺うこと

  1. 友だちリストやフォームの申込者は、どのツールに、誰の名義で保存されますか。名義によって、リストの帰属の説明と、終了時の引継ぎ・削除の方法が変わるためです。
  2. ステップ配信やタグ付けの設定は、誰が行いますか。設問の内容を決めるのは誰ですか。要配慮個人情報に及ぶ設問を、誰が防ぐのかを決める必要があるためです。
  3. サイトやLPに入れているタグは何ですか。タグ管理ツールで後から追加する予定はありますか。ポリシーの一覧と実装のずれが、後から追加されたタグから生じるためです。
  4. 広告の効果測定のために、メールアドレスや電話番号を広告事業者へ送る連携を使いますか。個人データの提供に当たり得て、本人の同意や外国にある第三者への提供の手当てが必要になるためです。
  5. 顧客のサイトは、自社の商品やサービスを紹介する公式サイトだけですか。会員の投稿や、情報の配信を事業とする場がありますか。外部送信規律の対象になり得るかを見分ける入口になるためです。
  6. 運用代行会社が、自社の集客にも友だち情報を使いたいという希望はありますか。委託の範囲を超える利用となるため、別の手続(同意や共同利用)が必要になるためです。
  7. 配信ツールや分析ツールの事業者は、外国の会社ですか。データはどこに保存されますか。外国にある第三者への提供の手当てが必要か、クラウドとして整理できるかを分けるためです。
  8. 契約が終わったとき、リストをどの形式で、いつまでに引き渡し、削除しますか。終了時の手順を決めておかないと、データが受託者の側に残り続けるためです。

起きがちなこと:運用の「便利さ」が、委託の範囲を超えるとき

契約全体の組み立ては業務委託契約書の作り方のページで、規約で受注する場合のポリシーとの組み合わせは申込書・利用規約の作り方のページで解説しています。伴走や内製化の支援で顧客の担当者に配信を任せる場合は、伴走サポート・内製化支援の契約書のページもあわせてご覧ください。

よくあるご質問

公式LINEの友だちリストは、運用代行会社が自社のために使えますか?

原則として使えません。顧客から取扱いを任された個人データは、委託された範囲でしか使えず、自社のマーケティングや他の顧客のデータとの突合に使うことは委託の範囲外とされています。自社でも使いたい場合は、本人の同意を得る方法や共同利用の手続など、委託とは別の整理が必要です。

計測タグを入れたら、必ずプライバシーポリシーに書く必要がありますか?

個人情報として取り扱う場合は、利用目的をできる限り特定して通知・公表する必要があります。外部送信規律の対象になるサイトでは、送信される情報、送信先、利用目的の公表も求められます。対象でない場合も、送信先と目的を書いておく運用が一般的です。

外部送信規律は、すべてのホームページにかかりますか?

かかりません。総務省のFAQでは、SNS、掲示板、情報の配信など、一定の役務をブラウザやアプリで提供する事業者が対象とされ、電気通信事業を本業としない事業者が自社の商品やサービスを紹介・販売するだけのサイトは、通常は対象外とされています。

メールアドレスをハッシュ化して広告事業者に送れば、個人情報の提供になりませんか?

加工しても、提供元が他の情報と容易に照合して特定の個人を識別できるなら、提供元では個人情報(個人データ)のままです。その場合は、広告事業者への送信が個人データの提供に当たり得て、本人の同意や、外国にある事業者なら外国にある第三者への提供の手当てが問題になります。

ステップ配信のアンケートに、健康状態を聞いても構いませんか?

病歴などは要配慮個人情報に当たり得て、取得にはあらかじめ本人の同意が必要です。友だち追加への同意では足りません。必要な項目だけを、その画面で目的と合わせて示して同意を取るか、症状を聞かない設計にします。

あわせて読みたいページ

本ページは一般的な情報提供です。個別の取引に必要な対応は、当事者の規模、顧客が事業者か個人か、契約内容、報酬の決め方などによって異なります。書き方の例として紹介している内容は、一般に見られる書き方を整理した例で、特定の事業者や案件を示すものではありません。条文は官公庁の公表資料で確認しています。参考: e-Gov法令検索 / フリーランス法特設サイト(公正取引委員会) / ステルスマーケティングに関する消費者庁の案内 / 景品規制の概要(消費者庁)

アトラス行政書士法人|毎日5組限定契約書・利用規約の無料チェックお手元の書類の問題点を、行政書士が詳しく指摘します。1書類につき24時間以内に回答・お1人様3種類まで無料チェックの詳細を見る›

ご依頼の前に:対応の内容

料金は書類ごとの定額です(税込):契約書 1通15,000円/利用規約+プライバシーポリシー 2点で23,000円/特定商取引法に基づく表記 11,000円 料金表を見る

詳しい内容を見る

SNS運用代行の契約でお困りの方は、お気軽にご相談ください。

公式LINEで無料相談する
アトラス行政書士法人 公式LINEの友だち追加QRコード
  1. 公式LINEを友だち追加
  2. 「SNS運用代行のサイトを見た」とメッセージを送信
  3. ご相談内容を確認し、LINEでご返信します(365日・深夜や休祭日も通常対応)

相談無料です。料金が発生するのは、お申込みいただいた書類の作成と、お手元の書類の修正・加筆だけです。

LINEで友だち追加して無料相談する

申込フォーム・お電話でもご相談いただけます。

ご依頼・納品の流れを見る