単発の制作と、継続的な運用代行では確認点が違う
単発の制作は「作って納めて、代金を受け取る」で完結します。問題が起きやすいのは、次のように事業が広がったときです。
SNS運用代行で揉めやすい4つの場面
SNS運用代行の契約トラブルは、腕前や成果よりも「最初に決めていなかったこと」から起きます。当事務所が契約書を点検するなかで、特に繰り返し目にするのは次の4つです。
1. 作った投稿や画像を、契約が終わった後も使えるか
投稿の文章、画像、動画、テンプレートは著作物に当たり得ます。契約で何も定めなければ、著作権は原則として実際に制作した側に残ります。依頼者は「お金を払ったのだから自分のもの」と考え、制作者は「使ってよいのは契約期間中だけ」と考える。このすれ違いが、契約終了後に表面化します。
2. 成果が出なかったときに報酬を払うか
「フォロワー1万人を目指します」という説明が、目標なのか約束なのか。成果報酬型にする場合、何を成果とし、どのツールのどの時点の数値で測るのかを決めていないと、未達成のときに報酬の支払いそのものが争いになります。
3. 契約終了時にアカウントと過去データをどうするか
アカウントのログイン情報、広告アカウントの権限、分析データ、DMで受けた問い合わせ。誰が所有し、終了時にどう引き継ぐのかを決めておかないと、パスワードを変えられない、過去の投稿を消された、といった事態が起きます。
4. PR投稿の表示で、誰が責任を負うか
令和5年10月1日から、事業者の広告であることが一般消費者に分からない表示(いわゆるステルスマーケティング)は、景品表示法の不当表示に当たります。投稿を作るのが運用代行業者でも、表示の主体として責任を問われるのは依頼者側の事業者です。だからこそ、PR表記のルールと投稿前の確認の流れを契約で決めておく必要があります。
提供する形に応じて、見るべき法律が変わる
SNS運用代行に関わる法律は1つではありません。誰に委託するか、どう報酬を決めるか、何を投稿するかによって、重なる法律が変わります。
運用ノウハウを「講座」として売る場合
運用代行の実績をもとに、SNS運用講座やコンサルティングを販売する方も増えています。この場合は、受講者との受講契約、特定商取引法上の表記、オンラインでの申込画面の表示、教材の著作権の整理が加わります。勧誘の方法(Zoomでの個別面談からの申込みなど)によっては、クーリング・オフの対象になることもあります。オンライン講座の書面整備については、オンライン講座開業の法務ガイドで詳しく解説しています。
本ページは一般的な情報提供です。個別の取引に必要な対応は、委託先の規模、契約内容、報酬の決め方などによって異なります。参考: 公正取引委員会 フリーランス法 / 消費者庁 ステルスマーケティング規制 / 文化庁 著作権

