ATLAS ADMINISTRATIVE SCRIVENER CORPORATIONSNS運用代行の法務ガイド
LEGAL GUIDE · SNS運用代行

SNS運用代行を受ける側も、任せる側も。契約で決めておくべきこと

Instagram・TikTok・X・YouTubeなどのアカウント運用代行、運用コンサル、投稿物の制作代行。SNSまわりの仕事を事業として行う方と、外部に依頼する事業者の方に向けて、業務委託契約書・著作権・成果報酬・広告表示の法務ポイントを整理したガイドです。

「センスと実績があれば契約書は簡単でいい」と思われがちです。けれど、投稿物の著作権、成果が出なかったときの報酬、契約終了時のアカウントの扱いは、書いておかないと必ずと言っていいほど揉めます。

行政書士法人による実務ガイド
このサイトは「SNS運用代行 契約書」を調べて来られた方向けに、単発の投稿制作から、継続的なアカウント運用、成果報酬型の契約、運用ノウハウを教える講座まで、事業の形ごとに必要な法務を整理しています。バナーを1枚作って納品するだけなら、決めるべきことはそれほど多くありません。しかし、アカウントを預かって毎月運用する、フォロワー数などの成果で報酬を決める、ノウハウを教材にして販売するとなった時点で、話は変わります。

単発の制作と、継続的な運用代行では確認点が違う

単発の制作は「作って納めて、代金を受け取る」で完結します。問題が起きやすいのは、次のように事業が広がったときです。

継続的な運用代行 アカウントを預かり投稿・分析を毎月行う 成果報酬型の契約 フォロワー数などで報酬額が変わる 運用コンサル・講座 ノウハウを教材にして指導・販売する 再委託・チーム運用 外部のデザイナーや編集者に再委託する
どれか1つでも当てはまれば、業務委託契約書の内容をあらためて確認する必要があります。

SNS運用代行で揉めやすい4つの場面

SNS運用代行の契約トラブルは、腕前や成果よりも「最初に決めていなかったこと」から起きます。当事務所が契約書を点検するなかで、特に繰り返し目にするのは次の4つです。

1. 作った投稿や画像を、契約が終わった後も使えるか

投稿の文章、画像、動画、テンプレートは著作物に当たり得ます。契約で何も定めなければ、著作権は原則として実際に制作した側に残ります。依頼者は「お金を払ったのだから自分のもの」と考え、制作者は「使ってよいのは契約期間中だけ」と考える。このすれ違いが、契約終了後に表面化します。

2. 成果が出なかったときに報酬を払うか

「フォロワー1万人を目指します」という説明が、目標なのか約束なのか。成果報酬型にする場合、何を成果とし、どのツールのどの時点の数値で測るのかを決めていないと、未達成のときに報酬の支払いそのものが争いになります。

3. 契約終了時にアカウントと過去データをどうするか

アカウントのログイン情報、広告アカウントの権限、分析データ、DMで受けた問い合わせ。誰が所有し、終了時にどう引き継ぐのかを決めておかないと、パスワードを変えられない、過去の投稿を消された、といった事態が起きます。

4. PR投稿の表示で、誰が責任を負うか

令和5年10月1日から、事業者の広告であることが一般消費者に分からない表示(いわゆるステルスマーケティング)は、景品表示法の不当表示に当たります。投稿を作るのが運用代行業者でも、表示の主体として責任を問われるのは依頼者側の事業者です。だからこそ、PR表記のルールと投稿前の確認の流れを契約で決めておく必要があります。

運用代行の契約書を点検していて特に多いのが、著作権の条項がまったくない契約書と、成果報酬の「成果」の定義が「売上の向上」のように曖昧なまま運用されている契約書です。条項が「ある」か「ない」かだけでなく、実際に揉めたときにその条項で結論が出るかどうかまで確認します。

提供する形に応じて、見るべき法律が変わる

SNS運用代行に関わる法律は1つではありません。誰に委託するか、どう報酬を決めるか、何を投稿するかによって、重なる法律が変わります。

該当性は、委託先が個人か法人か(従業員の有無を含む)、契約の性質(運用か納品か)、報酬の決め方の3点を確認してから判定します。「SNSの仕事だから契約書は簡単でいい」と判断するのが、最もトラブルにつながりやすいパターンです。

運用ノウハウを「講座」として売る場合

運用代行の実績をもとに、SNS運用講座やコンサルティングを販売する方も増えています。この場合は、受講者との受講契約、特定商取引法上の表記、オンラインでの申込画面の表示、教材の著作権の整理が加わります。勧誘の方法(Zoomでの個別面談からの申込みなど)によっては、クーリング・オフの対象になることもあります。オンライン講座の書面整備については、オンライン講座開業の法務ガイドで詳しく解説しています。

本ページは一般的な情報提供です。個別の取引に必要な対応は、委託先の規模、契約内容、報酬の決め方などによって異なります。参考: 公正取引委員会 フリーランス法 / 消費者庁 ステルスマーケティング規制 / 文化庁 著作権

FAQ

よくある質問

SNS運用代行の契約・法務について、よくいただくご質問です。

SNS運用代行を始めるのに資格は必要ですか?

開業に必要な資格はありません。ただし事業として契約を結ぶ以上、業務委託契約書や著作権の取り決めなど、資格とは別の書面整備が必要になります。

単発でバナーや投稿を作るだけなら、契約書は不要ですか?

単発の制作・納品でも、著作権をどちらが持つか、どこまで使ってよいかは決めておくべきです。継続的な運用代行やアカウントの預かりが入ると、決めるべき項目はさらに増えます。

フリーランス法は自分にも関係ありますか?

従業員を使用しない個人や一人社長の法人に業務を委託する場合、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)の対象になり得ます。取引条件の明示義務や、報酬の支払期日のルールなどが生じます。

投稿物やデザイン素材の著作権は誰のものですか?

契約で何も定めなければ、著作権は原則として実際に制作した側に残ります。依頼者が自由に使い続けたい場合は、著作権の譲渡または利用許諾の範囲を契約書に明記します。

成果報酬型の契約で注意する点は?

何を成果とするか、どのツールのどの時点の数値で測るか、未達成のときに報酬をどう扱うかを具体的に決めておく必要があります。

PR投稿で気をつけることは?

令和5年10月1日から、事業者の広告であることが一般消費者に分からない表示は景品表示法の不当表示に当たります。運用代行の契約でも、PR表記のルールと確認の流れを決めておきます。

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SNS運用代行・運用コンサル・講座など、取引の実態に応じた業務委託契約書・利用規約・特定商取引法上の表記の作成をご相談いただけます。

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荒木素子(アトラス行政書士法人 代表社員・行政書士)
監修:アトラス行政書士法人 最終確認日:2026年10月14日
代表社員
荒木素子(行政書士登録番号 23301136)
事務所所在地
〒662-0098 兵庫県西宮市柏堂西町14番25号
行政書士法人番号
2308101
国税庁法人番号
3140005026635

本記事の実務傾向に関する記述は、代表社員・荒木素子がこれまで手がけてきた契約書・利用規約のレビュー実績に基づきます。詳しいプロフィールは本体サイトの事務所概要・代表あいさつでご確認いただけます。