報酬の形は大きく3つ
| 形態 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 固定報酬(月額) | 業務を行えば成果にかかわらず報酬が発生する | 業務範囲を数と頻度で特定しておく |
| 成果報酬 | 定めた成果が出た場合に報酬が発生する | 成果の定義・測定方法・未達成時の扱いを特定する |
| 固定+成果報酬 | 最低限の月額に、成果に応じた上乗せを加える | 固定部分と成果部分の対象業務を分けて書く |
「成果」の定義は5つの要素で特定する
- 指標: フォロワー増加数、エンゲージメント率、プロフィールへのアクセス数、リンクのクリック数、問い合わせ件数、売上など
- 測定ツール: 各プラットフォームの公式インサイトか、外部の分析ツールか
- 測定期間と基準日: 月初と月末の差分か、契約開始日からの累計か
- 除外するもの: 広告出稿による増加、依頼者側のキャンペーンによる増加、フォロワーの購入など不正な手段による増加
- 算定式: 1件あたりの単価か、達成率に応じた段階制か、上限額を設けるか
特に「売上」を成果にする場合は、SNS経由の売上をどう切り分けるか(専用のクーポンコード、計測用のURLなど)まで決めておかないと、測定自体ができなくなります。
成果が出なかったとき、途中で終わったとき
民法には、委任事務の結果として得られる成果に対して報酬を支払う約束をした場合のルールがあります(民法648条の2)。成果の引渡しが必要な場合は引渡しと同時に報酬を支払うこと、委任者の責めに帰すことができない事由で成果を得られなくなった場合などには、既にした部分によって委任者が利益を受けるときに、その利益の割合に応じて報酬を請求できることなどが定められています。
ただ、SNSの数値は外部要因で大きく動くため、民法の一般的なルールだけで結論を出すのは困難です。契約書では、次のような場面ごとの扱いを具体的に決めておきます。
- 目標に届かなかった場合(報酬なし、一部支払、翌月への繰越など)
- 依頼者の都合で投稿の承認が遅れ、予定どおり運用できなかった場合
- プラットフォームの仕様変更やアカウント停止で数値が大きく変動した場合
- 期間の途中で契約を解約した場合の、成果部分の精算
フリーランス法の報酬支払期日(60日ルール)
個人や一人社長の法人に運用代行を委託する場合、特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律(フリーランス法)の対象になり得ます。対象となる場合、委託する側が従業員を使用する事業者であれば、委託した役務の提供を受けた日から起算して60日以内のできる限り短い期間内で報酬の支払期日を定め、その期日までに支払わなければなりません。支払期日を定めなかった場合は、役務の提供を受けた日が支払期日とされます。
運用代行のように毎月続く業務では、「月末締め・翌月末払い」のように締め日を設ける支払方法がとられることが多いです。この場合も、締め日から支払日までの期間が60日を超えないように設定します。
成果を理由にした「後からの減額」に注意
フリーランス法では、従業員を使用する事業者が1か月以上継続して業務を委託する場合、フリーランスの責めに帰すべき事由がないのに報酬を減額することなどが禁止されています。契約であらかじめ定めた算定式に従って成果報酬を計算することと、いったん合意した報酬を後から一方的に減らすことは、まったく別のものです。成果が出なかったことを理由に報酬を減らす可能性があるなら、そのルールを契約時点で明確にしておく必要があります。
広告費は報酬と分けて管理する
運用代行業者が広告の出稿まで行う場合、広告費を運用代行業者が立て替えるのか、依頼者のクレジットカードで直接支払うのかを決めておきます。立替の場合は、精算の時期と方法、手数料の有無を明記します。広告費を報酬に含めて一括で請求すると、成果報酬の計算や、解約時の精算が複雑になります。
よくあるご質問
成果報酬型にすれば、成果が出なければ報酬を払わなくてよいのですか?
契約で「成果が出た場合にのみ報酬が発生する」と明確に定めていれば、原則としてそのとおりになります。ただし、依頼者側の事情で運用できなかった場合などの扱いは、契約で別に決めておかないと争いになり得ます。
フォロワー数を成果にする場合の注意点は?
広告による増加や、フォロワーの購入など不正な手段による増加を除外する旨を定めておきます。フォロワーの購入は多くのプラットフォームの規約に反し、アカウント停止の原因にもなります。
フリーランス法の60日ルールは、法人に委託する場合も関係ありますか?
従業員を使用しない一人社長の法人は、フリーランス法の対象となり得ます。従業員を使用している法人に委託する場合はフリーランス法の対象外ですが、資本金などの基準によっては取適法(旧下請法)の対象となることがあります。
広告費を報酬に含めて請求しても問題ありませんか?
禁止されているわけではありませんが、成果報酬の計算や解約時の精算が複雑になります。広告費は報酬とは別に、立替の有無と精算方法を決めて管理することを勧めます。
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本ページは一般的な情報提供です。個別の取引に必要な対応は、委託先の規模、契約内容、報酬の決め方などによって異なります。参考: 公正取引委員会 フリーランス法 / 消費者庁 ステルスマーケティング規制 / 文化庁 著作権
